脳の仕組みと性欲の関係


1日10万個ずつ減っていくといわれる脳の神経細胞。
そんな脳を常に若々しくイキイキさせておく決め手は、性行為にあるようです。

まずは、勃起から射精までのおおまかな流れをみてみましょう。
 男性の陰茎は、性的興奮が高まると、硬く大きくなって勃起します。
勃起が起こるのは、視覚や聴覚などの感覚によって性的興奮による神経シグナルが脳の視床下部から骨盤神経、陰茎海綿体神経へ伝わり、多くの血液が陰茎の海綿体に流入して内圧が上がるからです。

勃起の指令を陰茎に伝える末梢神経は骨盤内にある自律神経です。
様々な原因でこの神経が障害されると勃起が起こらなくなります。
性的な刺激によって勃起するのは自然ですが、実はリラックスした状態でないと勃起しにくいんです。

自律神経には、活動した時(戦うときなど)に働く交感神経とリラックスした時(睡眠前や休息時)に働く副交感神経があります。
 しかし、勃起は副交感神経が働いている時ですが、射精は交感神経が働いている時でないと難しのです。不思議ですよね。
 性行為を成し遂げるためには、勃起から射精を経なければなりません。
脳の視床下部→勃起中枢→陰茎、自律神経。この一連の流れが脳と体の絶妙なバランスによって達成できるのです。

男性のオルガズムと射精の仕組み

勃起が副交感神経を介しているのに対し、射精は交感神経に制御されています。
性的興奮による刺激が、脳から交感神経を介して男性の生殖器に伝わると、精巣、精管、精のう、前立腺が収縮して、精液が尿道へ送られます。

骨盤底筋の収縮によって、蓄積された精液が陰茎の先から射精されます。
射精後、快楽ホルモンと呼ばれる脳内物質「ドーパミン(衝動・欲望・やる気・意欲・達成感・幸福感などの情報を伝える物質)」が分泌され、オルガズムに達します。

オルガズムは、性的興奮の絶頂期のことで、男性の場合、一般的には射精とほぼ同時に起こります。
射精すると陰茎の動脈、陰茎の海綿体の平滑筋が収縮し、血液の流出が増え陰茎は萎縮して軟らかくなります。

セックス中の自律神経は非日常?

セックスという行為中は、勃起する時は副交感神経が優位になり、セックスの大詰めで交感神経にシフトすることで射精が完了すると考えられています。
 ところが、セックス中の自律神経機能を測定した実験結果をみると、セックスのピークで、交感神経と副交感神経の両方が優位になっていたそうです。これは、アクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態で、日常ではありえないことです。

自律神経の交感神経と副交感神経は本来シーソーの関係なのですが、不思議ですね。

ラットによる実験

ラットによる実験で脳と性行為の関係をまとめると、

・オスのラットに、発情期を迎えたメスのラットと、何度も交尾ができる環境を作ると、1度だけ
の時と比べてストレスホルモンは減り、脳内の細胞はより増えた。

・高齢のラットが2~4週間、毎日欠かさず交尾すると、同じ状況にある若いラットと同程度、脳内の細胞が増えた。

つまり、ラットの場合、年齢に関係なく、性行為による脳への良い効果はあるということになります。

人の場合のデータ

それでは、人の場合はどうでしょうか?
2016年、オーストラリアで50歳以上の6000人分のデータを分析して、中高年以上の性行為が脳にもたらす影響を調べた研究結果が次の通りです。

・人との交流が深まる性行為が、認知力低下を防ぐ
・性行為による脳への健康効果(神経発生を促すホルモンであるオキシトシンの分泌量)は、
パートナーへの愛着や信頼があればあるほど増える
・年齢に関わりなく、性的に活発な人の方が記憶力が良い傾向にある
・定期的に性行為を行っている50~89歳の人は、そうでない人より、知能検査の成績が良い
・主要なホルモン(テストステロン、エストロゲン)は、障害を通じて脳に有益で、脳を守って
くれる

 などなど。

男性の皆さん!健康のためにも生涯現役でいきたいですね!

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著:相徳かおり