高血圧とは、血液が動脈を流れる際に血管の内側にかかる圧力のことです。血圧の「上」や「下」という言い方をしますが、上は心臓が収縮して血液を送り出した時の「収縮期血圧(最高血圧)」のことで、下は心臓が拡張した時(ゆるんだ時)の「拡張期血圧(最低血圧)」のことです。


 血圧の単位は「mmHg(ミリメートル・エイチ・ジー)」で表されますが、「Hg」は水銀を示す記号です。例えば、血圧の160mmHgは「水銀を160mm押し上げる力」で血管を押しているということになります。

血液と水銀の比重の違い(血液約1.05、水銀13.6)で計算すると、血液なら約2mの高さまで吹き上げる力になります。

 脈拍数が1分間に70回程度の場合、心臓は一日で約10万回血液を送り出しています。つまり血管は血液を2m吹き上げるほどの圧力を1日10万回受けていることになるのです。これほど高い圧力にあまりに長くさらされ続けると、やがて血管は傷つき壊れていきます。これが動脈硬化なのです。

血圧は、心臓から送り出される血液の量(心拍出量)と、血管の硬さ(血管抵抗)で決まります。心拍出量も血管抵抗も大きくなれば血圧が上がり、いずれかが小さくなれば、血圧は下がるという関係です。

 
昔は「140/90以上が血圧が高い」と言っていましたが、実は欧米に比べて、日本の血圧基準値は甘めだったんです。
そこで、日本高血圧学会では2019年に高血圧ガイドラインを新たに見直し、次の表のようになりました。

分類診察室高血圧家庭血圧
収縮期血圧拡張期血圧収縮期血圧拡張期血圧
正常血圧120未満 かつ 80未満115未満 かつ 75未満
正常高値血圧120-129 かつ 80未満115-124 かつ 75未満
高値血圧130-139 かつ/又は 80ー90125-134 かつ/又は 75ー84
Ⅰ度高血圧140-159 かつ/又は 90-99135-144 かつ/又は 85ー89
Ⅱ度高血圧160-179 かつ/又は 100-109145-159 かつ/又は 90ー99
Ⅲ度高血圧180以上 かつ/又は 110以上160以上 かつ/又は 100以上
血圧ガイドライン

大まかに言うと、診察室での収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上または、拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合を高血圧と診断します。自宅ではかる家庭血圧の場合は、上記の表のように診察室よりも低い基準が用いられます。

なぜこのように厳しくなったのか?高血圧は喫煙と並んで生活習慣病死亡に最も大きく影響する要因だからです。もし、完全に高血圧が予防できれば、年間10万人以上の人が死亡せずにすむと推計されています。高血圧自体は、過去数十年で大きく減少しましたが、今なお20歳以上の国民のおよそ2人に1人は高血圧と言われています。

高血圧と勃起力との関係

では、高血圧と勃起力との関係ですが、高血圧で血管に負担がかかることで動脈硬化(動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態)につながり、陰茎に流れる血液が減少するからです。勃起に必要な血液が陰茎まで行き届かなくなれば、勃起の達成や維持が困難になります。
 そして、高血圧の人は、そうでない人に比べて1.74倍勃起不全になるリスクが高く、高血圧の患者さんの7割程度が勃起不全であるとされ、また、勃起不全の方の4割程度に高血圧の合併症が認められたという報告があります。

私は、血圧は早く正常血圧になった者がちだと思っています。よく、「血圧の薬は飲み始めたら一生飲まないといけないんでしょ?」と聞かれることがよくあります。そんなことはありません。

しっかり塩分を控え、毎日しっかり運動し、暴飲暴食をしない、過度なストレスは抱え込まない、喫煙はしない、等など、ができるのであれば、血圧が正常血圧になっていき、血圧の薬も必要なくなるでしょうが、そう簡単に聖人君子のような生活ができるかというと、難しいですよね?

 そう簡単には、生活習慣は変わらないものです。(変えていこうと努力はして頂きたいですが)

〈食事編〉
① 減塩(6g/日未満)
② 野菜・果物の摂取(但し積極的摂取が勧められない方は要注意)
③ コレステロールや動物性脂肪の摂取を控える
④ 魚(魚油)を積極的に摂取する
⑤ 適正体重の維持のために適切なカロリーを摂取する
⑥ 節酒(エタノールで男性20~30ml/日以下、女性10~20ml/以下)

〈その他〉
① 深呼吸やゆったりとした腹式呼吸
② 良質な睡眠
③ 急激な温度変化を減らす
 

いつまでもしなやかな血管でいるために、日常生活を見直してみましょう!

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著:相徳かおり