またまた、「知ってるよ~」というお声が聞こえそうですが、今回は男性ホルモンについてお話しようと思います。
男性ホルモンは、「雄性ホルモン」とも呼ばれ(あまり聞きませんが…)「アンドロゲン」とも呼ばれます。

男性ホルモンには、

・テストステロン(メインの男性ホルモン)
・ジヒドロテストステロン
・デヒドロエピアンドロステロン
・アンドロステンジオン
・エピアンドロステロン
などがあります。

メインの男性ホルモンであるテストステロンについてお話ししていきますね。

① テストステロンが作られているところ
テストステロンは精巣(睾丸)の中にあるライディッヒ細胞で作られています。その他では、脳内の海馬という場所や、筋肉、脂肪でも作られています。血液中では3つの型にわかれていて、「SHBG結合型(35~75%)」「アルブミン結合型(25~65%)」「遊離型(1~2%)」と呼ばれています。さらに「アルブミン型」と「遊離型」を合わせて「バイオアベイラブル・テストステロン」と呼んでいます。


日本人の健常成人男性の総テストステロンは加齢による減少が軽度ですが、「遊離型」は加齢に伴い減少することが判明しています。
総テストステロンと遊離型は、午前中は高値で比較的安定していて、午後低下します。
その後上昇しますが、夕方から深夜にかけて低下し、深夜に最低値を示します。
テストステロンの分泌量は、男性の人生の中で20~30代の頃がピークとされています。

この時期の男性は豊富なテストステロンの分泌量から人生の中で最も活力に満ちていると言えるのではないでしょうか?

② テストステロンの働き
ざっくり言うと「男性的な体つきや思考性を作る」働きがあります。
では、細かくお話ししていきましょう。


1) 脳(性欲・性衝動の活発化)
 いわゆる「性欲」「性衝動」はテストステロンの作用です。異性を惹きつける体臭と言われるフェロモンを発生させて、「ドーパミン」という興奮作用のある神経伝達物質を増やします。そして、骨盤神経に作用して勃起を起こすなど、男性が性交渉を行うために必要な「興奮」「勃起」などのスイッチを次々と立ち上げていく働きがあります。

2) 筋肉(筋力の維持)
筋肉の合成を促進する働きがあります。男性は女性よりもテストステロンの分泌量が多いため(女性は男性の5~10%ほどしかないと言われています)、男女で比較すると男性の方がより筋肉が発達しやすいとされています。

3) 骨
骨の形成を促進する作用があり、男性の閉経相当期では、テストステロンの分泌量が減少するため、骨量や骨密度が低下し、骨粗鬆症になりやすくなります。

4) 腎臓(エリスロポイエチン刺激)
造血因子の1つである「エリスロポイエチンを刺激します。

5) 骨髄(血液幹細胞刺激)
 血液幹細胞を刺激し、血液を作る働きを助けます。

6) 皮膚・毛髪の育成
成長期の10代から20代にかけてひげや陰毛などが生えそろってきます。
逆に、加齢に伴い、男性ホルモンの中でも「ジヒドロテストステロン」が男性型脱毛症(AGA)を引き起こす原因とされています。

7) 肝臓(アルブミンの産生)
 肝臓でアルブミンというタンパク質を作る際に作用します。アルブミンは、血管内に水を保持する働きがあり、体内の水分量を調整する非常に重要な役割があります。

8) 血管の動脈硬化予防
最近の医学研究のエビデンスでは、テストステロンの低下は動脈硬化のリスクを増加させるだけではなく、肥満や糖尿病、循環器疾患のリスクも上がることがわかっています。


③ テストステロンを増やすには
詳しくはまた別の回にお話しますが、ざっくりご紹介します。

1) 筋肉トレーニングを行う
2) 良質な睡眠をとる
3) たんぱく質を十分摂取する
4) 日光浴
5) 過激なダイエットは避ける
6) ビタミン・ミネラルを適切に摂取する
7) 社会的な活動を(家の中に閉じこもらない)

④ テストステロンが減少すると
テストステロンが減少してくると、次のような心身の変調があらわれます。
・疲れやすい、または疲れがとれない
・精神的に落ち着かない
・不安感、うつ症状、いらいら感など
・集中力、やる気の低下
・性欲の減退
・朝勃ちしなくなった

テストステロンを低下させないようできることをしていきたいですね!

引用:男性の性腺機能低下症ガイドライン2022/日本内分泌学会/日本メンズヘルス学会